遺言がない場合、残された財産はどうやって分けるのですか?
亡くなった人(被相続人)が遺言を作成しなかった場合や、遺言書が見つからない場合には、法定相続人が被相続人の遺産を相続します。
遺産を相続するといっても、遺産によっては、①相続人の全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割」を必要とするものと②遺産分割をせずに法定相続分に従って当然に分割されるものとで分かれます。
①相続人の全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割」を必要とするもの
①遺産分割を必要とするものとは、例えば、不動産や銀行預金(預貯金払戻請求権)、動産、有価証券などを言います。これらについては、法定相続人が遺産分割をするまでの間は、相続人の共有となり、法定相続人がそれらの遺産を単独で処分することができません。
なお、共同相続された銀行預金について、かつては、可分債権であることを理由に、銀行預金の預貯金払戻請求権は遺産分割の対象とならないと解されていました。しかし、現在では、預貯金払戻請求権も,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく、遺産分割の対象になるものと解されています(最大判平成28年12月19日、民集第80巻8号2121頁)。
②遺産分割をせずに法定相続分に従って当然に分割
②遺産分割をせずに法定相続分に従って当然に分割されるものとは、例えば、現金や貸付金などの金銭債権です。これらについては、遺産分割をすることなく、相続人が法定相続分の割合で遺産を取得します。もっとも、相続人間で、法定相続分の割合とは異なる遺産分割協議を行うことも可能です。
相談に来られる方の中には、数十年間、遺産分割をしておらず、不動産の登記名義人が被相続人のままになっていて困っているとの相談をされる方がいます。
遺産分割協議をしないまま、相続人が死亡し、さらに相続人が増えてしまうケースは珍しくありません。その場合には、遺産分割協議をすることがたいへん困難になってしまいますので、遺産分割協議をしておくことを強くおすすめします。
遺言書がない場合には、相続人で相続人調査や遺産調査を行い、遺産分割協議を行うなどしてなるべく早めに所定の手続きをとりましょう。配偶者やお子様などご親族からのお問い合わせも受付けております。手続きでお困りの方はご相談ください。